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26.一般病棟

1年前の7月15日、痛くて苦しくて辛かったチューブから、事故後9日でやっと開放された。
そして集中治療室から一般病棟へ移動。といっても他に患者さんがいなかったので、個室の
ように一人で4人部屋を使えたので快適だった。
チューブが取れたことをCoryさんに知らせると、お祝いにGiovaneから美味しそうなケーキを
沢山買ってきてくれた。ただ、急に普通食に戻ることができず病院で出される食事は全て
ピューレ。スープもサンドイッチも魚も野菜もぜーんぶ影も形もなくミキサーにかけられた
とろとろ状態。術後間もなく体力もすっかり落ちていて、食欲もなかったので助かった。

そしてその朝から一般病棟へ移動と共にリハビリの開始。手をなるべく動かすようにと、
雑誌をめくったり、字を書いたり、歯ブラシを握ったり、髪をとかしたり・・・etc
そしてベッドに横たわっているだけではなく、リフトを使って車椅子に座る時間を増やしたり。
今から思うとこの時に用意されたものは車椅子ではなく、ただ単なる拷問チェアー。
常に誰かに押してもらわなければ動けない造りなので、せっかくベッドから離れられても
結局一人では何もできず、しかも座り心地もかなり悪くて私にはタダの拷問としか思えなかった。

ある朝まだ誰も病室に訪れる前に、看護婦さんたちがやってきてその拷問チェアに移された。
「何かあったらナースコールするように」と近くにコールボタンを置いて去っていった。
静かな部屋で窓の外を眺めながら、もう自分一人では何一つ満足にすることができないのかと
思うと情けなく、悲しく、辛く、涙が止まらなくなった。